ザァー。

 私は雨の中、傘もささずに一人で歩道を歩く。

 冷たい…寒い。

 (そら)くんに黙って(りゅう)くんとデートした。

 闇十字(やみじゅうじ)が潰れたのは私のせい。
 (あらし)くんの十字架のピアス、(そら)くんに渡せる訳ない。

 私がこのまま一緒にいたら、
 (そら)くんとの同居もバレて、
 鬼雪(おにゆき)闇十字(やみじゅうじ)みたいに潰されてしまうかもしれない。

 いやだ、そんなのは、絶対。
 だったらもう、帰ろう。

 ……どこに?

 もう帰る場所、どこにもない。

 私は(そら)くんのマンションの近くで座り込む。

 雨が街路灯に反射してキラキラと光る。

雪乃(ゆきの)っ!」

 (そら)くん……。

「バイト…終わったの?」

「あぁ、今までどこ行ってたんだよ」

「……」
 私が黙ると、

 ふわっ。
 (そら)くんはパーカーを脱いで私の両肩にかけ、フードを被せる。
 そして手を差し出す。


雪乃(ゆきの)
「一緒に家に帰ろう」