「展望台の方がもっと綺麗に見えるぞ、上がるか?」

「うん」

 私達は起き上がると花の展望台まで歩いて行く。

 花の展望台は二重螺旋構造になっており、上がり用通路の階段を上がっていくと頂上に着いた。

 夜空の星々が満天に輝き、視界一面に絶景が広がる。

「わぁ、すごい綺麗…」

 けど、寒い…。

 (りゅう)くんは白のファーコートを脱ぎ、私の両肩にふわっとかける。

「着とけ」

「あ、ありがとう…」

「頭痛は大丈夫か?」

「うん、最近、調子いいみたい」

「……変だな」
 (りゅう)くんはボソッと呟く。

(りゅう)くん?」

「甘酒飲むか? 少しは温まるぞ」

「うん」

 長袖Tシャツを着た(りゅう)くんはグレーのリュックから缶の甘酒を取り出し、私に手渡す。
 自分の分も取り出し、お互いにプシュッと(ふた)を開け、缶同士を軽くぶつけ合った後、飲む。

「甘酒美味しいね」
「夜景も(りゅう)くんが言った通り、ほんとうに綺麗…」

「喜んで貰えて良かった」
「これでもデート初めてだからな」

 え、初めて!?!?

「…あの、初めてが私で良かったんですか?」
 私は恐る恐る尋ねる。