「中2の夏に俺が夏祭りに誘って氷浦(ひうら)に襲われ、雪乃(ゆきの)さんを守り切ることが出来ませんでした」
「だから俺は総長になったんです」
「それでもまだ未熟でこの間は雪乃(ゆきの)さんを闇十字(やみじゅうじ)に誘拐されました」

「誘拐!? 雪乃(ゆきの)、本当か!?」
 お父さんは必死な声で尋ねる。

「うん、お父さんの娘だからって…」
(しず)先輩も殴り殺されたって…」

(しず)…そうか……」
雪乃(ゆきの)、俺のせいで誘拐されてごめんな」

「ううん…」

「それで今は君の家に?」

「はい、雪乃(ゆきの)さんを守る為に同居して、お付き合いさせてもらってます」

 お父さんは複雑な表情を浮かべる。
「まさか、娘も総長と付き合うなんてな…」

「だが娘は来月(りゅう)の姫に…」

「そんなことは俺が絶対させません」

「若い頃の俺とよく似てるな。君、エレキギターは?」

「文化祭のミスターコンで演奏しました。時々趣味で弾いてます」

「え、そうなの!?」
 私は驚きの声を上げる。

「あぁ」

「そうか、君もエレキギター好きなんだな」

 お父さんは頭を深く下げる。


(そら)くん、娘をどうか頼みます」