「え!?」
「リン、どうしちゃったの!?」
 騒ついた声が広がる中、

 お父さんは楽屋まで戻っていく。

「おい!」

「リン!?」

 少し青色に染まった黒髪のギターと銀髪で片目を前髪で隠したロン毛のベースが叫ぶ。

「待って! お父さん!!」

雪乃(ゆきの)、行くぞ」

「え?」

 (そら)くんは私を連れて脇にあるステージ階段を上がっていく。

「キャア!?」
「紫イケメンの高校生!?」
 観客は甲高い声を上げる。

「ちょ」

「君達!!」

 派手な金髪ドラムと黒に茶が混ざった髪を一つ結びしたキーボードが叫ぶ。

 私達は楽屋に入る。

「お父…さん…だよね…?」

「…なんで俺の居場所が分かった?」
「母さんに聞いたのか?」
 お父さんは背を向けたまま問う。

「違う、(りゅう)くんから聞いた」

(りゅう)?」

氷浦(ひうら)7代目総長…」

 お父さんは振り返る。

「お前、暴走族と関わってるのか?」

「うん…中2の夏に氷浦(ひうら)に襲われて…」
「今年のクリスマスイヴに(りゅう)くんの姫になる約束もしてる」
「だからそれが原因でお母さん、中2の夏にまた離婚しちゃった…」