私はぎゅっと脱いだビックTシャツを抱き締める。

「……私のお父さん、ダークノートっていうライブハウスに通ってるんだって」

白坂(しろさか)から聞いたのか?」

「うん」

「でも今更会う気は……」

 ギシッ…。
 (そら)くんは隣に座ると、後ろから右腕で私を抱き締める。

「一緒に会いに行くか?」

「え?」

「ほんとはクソ親になんか会わせたくねぇ」
「でも、会いたいんだろ?」

 ぽたっ……。
 堪え切れなくなった涙が2粒頬に伝う。


「……うん、会いたい」


 その後、私達は服を着て、寝転がる。

 (そら)くんは切なげな顔で手をぎゅっと繋いだまま放さなかった。