「どうした? 都合悪いか?」

 ……(そら)くん、ごめんなさい。

「い、いえ…」

「じゃあ家の住所教えろ。当日バイクで迎えに行くから」

 家!?!?
 それはマズイ!!

「家はその、ちょっと……」

「何かマズイことでもあるのか?」

 私は右肩にかかった鞄の紐をぎゅっと強く握る。

「あ、お母さんと仲悪くて……見られたくないなって……」

 ほんとうは(そら)くんとの同居がバレたくないからなんだけど…。

「分かった。なら近くまで迎えに行く」
「ライン交換しようぜ」

「あ、はい…」

 私は鞄のチャックを開けてスマホを取り出し、(りゅう)くんとライン交換をした。

 わ、(りゅう)くんのアイコン、ドラゴンだ。
 ブルーに光ってて、めちゃくちゃかっこいい…。
 それに比べて私はボサ花……もっと可愛いアイコンにしとけば良かった……。

「…お前って、伝説の暴走族紅嶺(ぐれい)の元初代総長緋本琳(ひもとりん)の娘なんだってな」

 え……。

「なんでそれを……」

「やっぱ、そうなんだな。ちょっと小耳に挟んでな」

 (あらし)くんから聞いたのかな…?