(そら)くんは右手を退け、私をカーテンに押し付ける。

 あ、指で涙、優しく拭われ……。


「分かった、もっと巻き込むわ」


 そのまま(そら)くんの唇が重なった。



 11月15日の放課後。私はあかりちゃん達と校門に向かって歩いていた。

「カラオケで歌いまくるぞ~!」

 (しゅん)くんは、ぶはっと笑う。
「あかり、気合入ってんな」

「だって今日は(そら)のおごりだからね」

耀(よう)(そら)はもう先に行ったんだよな?」

「うん、行ったよ。バイトの先輩に呼ばれて」

雪乃(ゆきの)(そら)のバイト姿見るの初でしょ?」
「楽しみだね」

「うん、楽しみ」
 私は微笑みながら美青(みお)ちゃんに返す。

「ねぇ、見て! 星羽(ほしばね)高の男子じゃない!?」

 女子の声が聞こえ、前を見ると、高校の敷地を囲む高い塀の内側に女子達が群がっている。

花城(はなしろ)さんの彼氏って噂だよ」
「嘘ぉ~」

 それだけで見えなくても誰なのか分かってしまう。