「大野くんって、実はいい人?」
日本中のチョロい人が集まっても、私はいい線いけると思う。そのくらいチョロい。この数分で、大野くんって実はいい人なのかなって、あんなに嫌いだって思ってたのに、大野くんへの感情が変わりつつある。チョロワングランプリ、優勝できるよねこれ。
私の問いには答えず、立ったままの彼は近くの椅子に腰掛けて。
ポッケから取り出したスマホにすぐ目を向ける。
……きっとまた、女の子だ。
どれだけ大野くんへの印象が変わろうが、大野くんの変わらない事実。
そこは変わらないだろうし、私がとやかく言う必要も権利も何ひとつとしてないし。