「今日水曜だけど、放送ないの?」




りっくんは不思議そうに、それでいて少し困ったように単純に疑問といったように私にその言葉をぶつけて。



……………。ほうそう、ホウソウ……放送?



みるみる私の顔から血の気が引く。



顔面蒼白。こんなにもわかりやすく顔に出ることって、あるんだろうか。



一瞬で体温が下がっていって、冷や汗。

こんなこと、今までなかった。



放送を忘れるなんて……面倒だと思っていた去年でさえ忘れることなんて一度もなかったのに。




「あ、ありがとうりっくん……!」




いつものいちごオレとクッキー、通称汐架スペシャルを買いに行く時間もない。



今日初めて、頭の中から昨日の言葉が消えた。


りっくんにお礼だけ言って、慌てて教室を飛び出した。



水曜日、私の大好きな曜日。

お昼に放送を流さなきゃいけないことなんて、すっかり忘れていた。