「那奈?何か用あったの?」




口にしてから、振り返ると、目が合うと思って上げた目線が全く合わない。


代わりに目に映ったのはグレーのネクタイと、白いシャツ。



え、とわけがわからなくなって、もう少し上に視線を向ければ、それは全然予想してなかった人物で。



____そして、今の私の最大の悩みのタネ、張本人。


相変わらずかっこよくて整った容姿をした彼は、困ったように私を見下ろしていた。