返してもらおうときみの名前を言うだけで、こんなにも恥ずかしくなって、むず痒くなって、慣れなくて、顔を覆いたくなる。



リボンを勝手に取ってるのはりっくんのほうだ。なんで私がこんなに恥ずかしい思いをしなきゃいけないの。



……なんて、言えるわけもないし、敵うわけもないってわかってる。



りっくんは容赦しないしなにがなんでも"璃玖"と呼ばないと反応してくれないっぽい。



りっくんのこと呼ぶたびにこんなに心臓ぎゅうってなるんですか。耐えられる気がしない……心臓がどうにかなっちゃいそうだ。



「リボン、か、返して……?」



相変わらずくるくるされて、遊ばれてる私のグレーのチェックのリボン。


私が言えば、彼は遊ぶのをやめてリボンを机の上に置いた。返してくれる気は、全く感じられない。置いただけ……なぜですか、りっくんさん。


ニヤリと嫌に口角が上がる、嫌な予感しかしません。