一体りっくんは、どれだけ私の体温をあげれば気が済むの。ぼん、って。もう、沸騰中だよ、私の顔。
可愛い、って誰に言われても照れるし嬉しいけど、りっくんは格別。
りっくんに言われると、爆発して、飛んでいってしまいそう。照れるとかそんな次元で片付けられない。
「いちいちかわいーの、汐架は。だからつい、意地悪したくなる。ごめんね?」
ごめん、なんて思ってないくせに。逆効果。ずるいなぁ、本当にずるい。
得意げに笑わないでよ。ごめんの説得力、まるでないよ。
"かわいーから意地悪"なんて、これ以上なにも言えないじゃない。そういうのがずるい。
私はりっくんに文句一つ言えないし、そもそも自分も悪かったから、なにも言えない。
「……りっくんの、ばか」
「……言ったじゃん、名前」
「わ、私の質問に答えてない……!」
「それはまた今度ってことで」
じゃあ私もまた今度、なんてきっと許されない。
わかってる、だって私はりっくんには全敗中なんだから。