重たい眼を擦りながら、ベッドの上で上半身を起こした。朝起きてすぐにカーテンを開ける。これはいつもの日課だ。今日も天気がいいようで薄ピンク色のカーテンの間から顔を出すと朝日が顔を照らして思わず目を細める。

昨日、寝る前にベッドの中でいろいろと考えていた。明日は学校に行くふりをして家を出る。そして電車に飛び込む。何度も頭の中でシミュレーションをしていた。

紺色のチェックのプリーツスカートに足を通して、ホックを止める。
随分細くなった足を見て苦笑した。最近は食べるのも億劫で、明日が来るのが怖くて眠れていなかった。

真っ白いシャツを着て、赤いリボンをつける。ブレザーに腕を通して、姿見の前に立った。

顔色が悪い。お母さんから朝食を食べるように言われたけどいらないと言って家を出た。

普段とは違って足の動きは軽やかだ。きっと、もう少しで全てから解放されることで心も軽くなっているのだろう。

狭い歩道を歩いていると、チャリンと自転車のベルを鳴らす音が後ろから聞こえて、左端へ寄る。
一瞬で自転車が風を作って去っていく。すれ違いざまにちらっと視線を動かしてみると中学生だろうか、セーラー服を着た学生が自転車を漕いでいる。

今日はゆっくりと歩いていた。もう2度と見ることはない景色を目に焼き付けたいからだ。

未練がないようで、あるのかもしれない。それでも今の自分の選択肢を否定はできないし、後悔もない。

4月は桜の季節だから好きだった。
でも今年はしっかりとそれを見ていないことに気が付いた。最後に、見ればよかった。
もう散ってしまって、おそらく葉桜へ変わっている頃だろう。
そんなことを思いながら改札を抜けた。雑踏に紛れて、私は駅ホームに立った。

辺りに視線を彷徨わせて私は息を吐いた。
ほとんどの人は携帯電話に夢中で画面とにらめっこしている。私が今、電車が来る前に飛び込んだら…驚くだろうな。それに通勤の迷惑になってしまう。
これから大事な商談のあるサラリーマン、大切な試験のある学生、そんな人たちはいないかもしれないのに頭の中で妄想を膨らませていいのだろうかと迷いが出る。

電車が来るアナウンスが流れる。死ぬ勇気があるなら何でもできる、誰かがそう言っていたことを思い出す。テレビだっけ、小説だっけ、忘れたけどその言葉が浮かんできた。

私は自然に口元に笑みを浮かべていた。
出来ないよ、何もできないんだ。息をすることも吐くことも苦しくてどうしようもないんだ。

それよりも“楽に”なりたい。

ふっと何かが抜けたように私の足がゆっくり進んだ。ふらふらと焦点の定まらない視点で歪んだ世界を脳裏にこすりつける。誰かの声が聞こえる。大きな警笛の音に私は目を閉じた。

あぁ、終わるんだ。

その瞬間、ぐっと誰かに腕を強く掴まれてその衝撃で大きく後ろに倒れこんだ。コンクリートに体をぶつけて傷みがあるはずなのに、それよりもあと少しで電車にぶつかりそうになっていた瞬間を至近距離で体感したせいで体が震えていた。

同時に強い風が私の体を通り抜け、バクバクうるさい心臓と騒がしい声に私は口を半開きにしてあたりを見渡す。時刻通りに止まった電車に人が乗り込むのを私は呆然と見ていた。じんわり、嫌な汗が背中を流れる。

失敗したのだと悟った。でも、同時に何故?という疑問が浮かんだ。でもそれもすぐに解消した。
頭上から声がした。

「おはよう」
「…あ、…おは、よう」

視線を上にあげると、そこには波多野君がいた。波多野くんの他にも30代くらいのサラリーマン風の男性もものすごく近い距離にいた。その男性は「何やってるんだ」と強い口調で私に言う。それに返事もせずに視線を落とした。


波多野君は、ドアが閉まってそのまま発進した電車をじっと見つめながら「もう間に合わないな」と独り言のように呟いて、私に言った。

「どうせだからサボろう」

この時の私は、きっと誰よりも間抜けな顔をしていたと思う。

多分、飛び込もうとした私を止めたのも彼だ。だったら今何をしようとしていたのか目的はわかっているはずだ。なのにそれは何も言われなかった。

そもそも、彼の最寄り駅と私のそれは同じだったことに驚いた。
真っ黒い髪の毛が春風のせいで揺れていた。彼が手を差し出す。私は彼の手に自分の手を重ねた。


タイプの違う波多野朝陽君は、地味でいじめられっ子で今にもこの世を去ろうとしていた私に手を差し伸べてくれた。これは、夢だろうか。
彼の手は思った以上に温かくて、私の胸の奥もじんわりと温かくなっていく。
次の電車を待ちながら波多野君が言った。

「サボるの平気?」

私はうんと曖昧に頷く。
彼はサボっても平気なのだろうか。そして、どうして死のうとしたのか聞いてこないのだろう。

私から話した方がいいのかな。横目で波多野君を見る。
やはり彼の頭上には“16”という数字が浮かんでいた。今年私たちは17歳になる。彼の誕生日はいつだろう。そして私は、”私の数字”が知りたい。

今日で私の世界が終わると思ったのに、どういうわけか転校生に止められたせいで1日ずれてしまった。
学校へ行けばいじめられて、家でも親の圧力で居場所がない。それなのに、彼に止められた時、よかったと思ってしまった。
電車が来て、私たちはそれに乗り込んだ。どこへ行くのかわからないけど、波多野君がサボろうと言ってくれたから私は、サボることにした。今日1日くらい別にいいだろう。

混みあう電車で波多野君と体が密着しないように気を付けながら乗る。
周りの人の数字を見ても79、80、62など想定できる数字が並ぶのに、波多野君だけ16だ。

本人に伝える気など毛頭ない。

だって、私にはどうすることもできないから。でも…昨日の時点で“人気者”で“中心人物”になるであろう彼が私に挨拶をしてくれて今も普通に接してくれている。
そんな彼がいつかはわからないけど17歳になる前に死んでしまう、その事実が信じられない。
私の力は本当は嘘で、特に意味もないものだったら?それだったらいいのに。そうしたら彼は…―

「顔色悪いけど大丈夫?」

顔を覗き込まれて異性にこんなに顔を近づけられたことはないからつい顔を引きつらせて背中を反らせ後ずさった。
大丈夫だよ、と伏し目がちに言った。

「ここで降りよう」と彼が言うので普段は降りない駅で降りた。私は、人を掻き分けるようにして波多野君に続いた。

改札を通って彼の横を歩く。駅改札を出るとすぐにオフィス街なのかサラリーマン風の男性やオフィスカジュアルの服装の女性、天を突くような高いビルが並ぶ。思わず顔を上げた。

普段、顔を上げることなどないから久しぶりにみた青空はとても澄んでいて心が穏やかになる。

先ほどまで死ぬことを考えていたのに、こんな当たり前のことで涙が出そうになった。

「この近くに、ケーキの美味しい喫茶店があるんだ」
「ケーキ?」

あまりにも彼のイメージとはかけ離れたその言葉に思わず聞き返してしまった。波多野君はうんと言って笑った。その笑顔と彼の後ろに広がる青空があまりにも似合いすぎていて目を背けたくなった。私には眩しすぎる。

「何度か食べてるんだけど。今月末までの限定のチーズケーキ、本当に美味しい。天野さんは?ケーキ好き?もし嫌いだったらこんなところまで連れてきて申し訳ないけど」

私はかぶりを振った。

チーズケーキはケーキの中でも一番好きだ。家でも結構作っていた。…今は、そんなことをしていたら母親からそんな暇があるなら勉強しろと言われるからできないけど。

「あ、お金は俺が出すよ。今日付き合ってもらったお礼に」
「いいよ。私の分は私で…」
「いいって。ちなみにそのカフェのケーキは人気で休日だとすぐに完売する」
「そうなんだ」

男子って甘いものが苦手なイメージがあるのに、そこまで詳しいなんてよほど好きなのだろう。
私は、波多野君の隣を歩きながら早くチーズケーキを食べたくてワクワクしていた。

時刻は10時を過ぎていて、徐々に気温が高くなっていく。日光がアスファルトを照らし、更に気温を上昇させる。

10分ほど歩いて到着したのは、外壁が茶色のレンガ調でコーヒーカップの絵が壁に描かれている。
周りには背の高い植物が置かれていて、店の入り口には小さな深緑色の黒板にチョークでコーヒーやケーキの値段が書かれている。
その横には、店主が書いたのかケーキや、コーヒーカップの絵が描かれている。
可愛いらしい絵に思わず笑みが浮かぶ。
波多野君に続いて私も店内に入った。中は思った以上に広くて丸い茶色のテーブルや椅子が並ぶ。
4人掛けの席が3つ、2人掛けの席が5つほどある。
カウンターで店主と楽しそうに喋っているのは白髪混じりの男女だ。おそらく、夫婦だろう。常連なのかもしれない。

「いらっしゃいませ」

店主は背の高いスラっとした男性で眼鏡をかけている。にこやかに笑うその笑顔がこちらへ向けられて思わず笑ってしまいそうになった。
お好きな席へどうぞ、と言われたので、私たちは奥の席へ座る。和やかな音楽が流れている。
すぐにメニュー表と、お水を持ってきてくれる。

「どうぞ。初めてですか?」

はい、と答えるとゆっくりしていってくださいねとやさしい口調で言われた。制服姿で店に入ったら明らかにおかしいのに、何も言われなかった。
店の人からするとお客だしお金を落としていってもらいたいから学校は?などは言わないだろう。
でも、このお店の人の口調からはそんな感情は全く感じない。
メニュー表を私の方へ向けて捲ってくれる。

「チーズケーキ、めちゃくちゃ美味いよ」
「じゃあ、それで」

飲み物は?と聞かれて、紅茶を頼んだ。波多野君も同じものを注文する。
お店の人が「チーズケーキ今月限定なんだけどものすごくおいしいから楽しみにしてて」と言っていて波多野君と目を合わせて微笑んだ。

「あの…どうして私のこと助けたの?」

彼は先ほどから全くその話題には触れない。だから痺れを切らした私は聞いた。
すると、彼は頬杖を突きながら私の目の奥を覗き込むようにしていった。

「なんでって…助けたかったから」

その力強い瞳は昨日も苦手だと思った。すべてを見透かしているような、瞳だ。

「だって目の前で死のうとしてる子が同じクラスの子だったら助けるよ」

無言でこくり、小さく頷いた。なんで死にたいの?とか、やめなよとかそういうことは彼の口から一切でなかった。説教されるわけでもない。ただ、私の瞳をじっと見つめて言う。

「やり残したこととかないの?」
「やり残したこと?」

反芻して、首を傾げる。

「ここのチーズケーキめちゃくちゃ美味しいからどうせなら食べてからにしたら?」
「…あ、そうだね」

唖然として私は目をしばたたく。

“やり残したこと”

そんなことはない。ないのに、こうやって彼がすごく美味しいというチーズケーキを勧めてくるから“やり残したこと”が増えてしまう。

「学校は…?いいの?転校して次の日からサボるのっていいの?」
「いいよ。サボるの好きだし」

そういって無邪気に笑う彼につられて笑った。こんなふうに笑ったのはいつぶりだろう。

すると、チーズケーキと紅茶が運ばれてきた。
透明のティーポットに温かいティーカップ、それにベイクドチーズケーキを目の前にして唾液があふれる。
朝食を食べていないから、おなかが空いている。
多分、ここは紅茶よりもコーヒーのほうが有名なのだろうけど頼んだダージリンティーもとても美味しかった。
フォークでチーズケーキを一口サイズに切って、それを口に運ぶ。
酸味と甘みのちょうどいいケーキで、ずっしりと重厚感があるのにすっと口の中で溶けていく感覚がたまらない。
美味しくて目を細める。それを波多野君が見ていて視線が交わり、つい恥ずかしくて目線を落とした。

「よかった、美味しいだろ?」
「うん。とても!これ限定なんだ…」
「残念だよね。でもほかにも美味しいケーキたくさんあるから」

本当に美味しくて、死ぬ前にこれを食べることが出来て幸せだと思った。波多野君に今日止められていなかったらこれを知ることが出来なかった。

「波多野君は…転校前はどこにいたの?」

ケーキを食べながら訊くとすぐに返事が返ってきた。

「隣の県だよ。俺が小学生のころ、父親が亡くなっているんだ。だから母親が一人で育ててくれているけど、母親の仕事は関東内で転勤があるんだよ。その関係で今回みずきと同じ学校に転校してきた」

父親がいない、そう言った彼はさらりと自然に答えていて、どう反応していいのかわからない。

でも、彼は大切な人を失っている。小学生の彼はどうやってそれを受け止めたのだろう。
そして、普通にみずきと下の名前で言われたことにも驚いている。社交的な人はこうやって友人を作っていくのかもしれない。

「あ、やっぱりここは私が払うよ」

母子家庭ならお金に困っているのでは、と思って提案した。お節介かもしれないし波多野君が嫌な思いをするかもしれないから直接的には伝えなかった。
でも、彼は首を横に振って言う。

「大丈夫。そもそもお金に困ってたら私立高校に入学しないでしょ?」

あ、と声が漏れる。

「まぁ、特待生で学費免除なんだけど」

少し誇らしそうにそう言った彼に私は吃驚した声を出す。私の学校は偏差値が高いうえに、エスカレーター式で小さいころから英才教育を受けてきているような子が多い。この中で特待生になるなんてほぼ不可能だ。

「す、すごいね!」
「そんなことないよ。でも学費が無料って言っても他にもお金はかかるから母親には感謝しかない」
「…」

波多野君のお母さんはどんな人なのだろう。私のお母さんと違うのだろうか。
急に現実の世界に戻されたように、私の中のストレスが溢れていく。比べたって仕方がないけど、無意識に比べてしまう。

「ちょうど父親が死んだとき、驚くほどのお金を残してくれていたらしい。今、この学校にも通えているのも父親のお陰でもあるから感謝してる」
「そうなんだ…」
「天野さんとは最寄り駅が同じなら家も近いかもしれない。転勤と同時に父親の方のばあちゃんと一緒に住むことになってさ。広すぎるほどの一軒家だからって一緒に住むこと提案されて母親も仕事が忙しいから助かるって言ってた。あ、今度遊びにくれば?」

そうだね、と返すが、友達でもないのに家に誘う彼の感覚に私は動揺する。
きっと、明るくて社交的な人はみんなこうなのかもしれない。
それに、先ほどから苗字で呼んだり名前で呼んだり…どちらかに統一してほしい。
下の名前で呼ばれると慣れていないせいか、落ち着かない。
お皿の上のチーズケーキももうなくなって、紅茶もほとんど飲み終わった。
それでも、波多野君との会話が途切れることはなかった。私も自然に言葉が出てくるようになったし今日初めて喋ったのに壁もない。
話すことが楽しいと感じる。こんな感覚、何年ぶりだろう。

「今更だけど天野さんじゃなくてみずきって呼んでいい?」

私はうんと頷く。

「じゃあ俺のことも朝陽でいいよ」
「え!それは…さすがに」

私は口籠って視線を控え目に逸らす。すると彼は間髪入れずに言った。

「俺だけが名前呼びって違和感あるからさ。それに俺たちもう友達じゃん」
「…とも、だち?」

明らかに違和感のある言葉に私は逡巡する。

昨日転校してきて、たまたま私の席の隣になっただけの男の子が、こうやって一緒にサボって私のことを友達だと認定してくれる。まるでドラマや映画の中のストーリーを辿っているようなそんな感覚がする。
友達の定義は何だろう。親友だと思っていた子から裏切られて、いじめられて…結局私には“友達”と呼べるような子はいない。

「ありがとう。友達に…なろう」

学校へ行ったら彼の気が変わって、もしくは、私のクラスでの扱いを悟って私の前から去ってしまうかもしれない。無視されるかもしれない。それなのに、今、この瞬間、友達じゃんと言ってくれた事実が嬉しくてしょうがない。
そして、気づいた。自殺を考えていたくせに、明日のことを考えている。
しかも学校へ行くことを前提に考えている。今日は失敗に終わった行為を明日、またしようとは思わなくなっていた。

いや、まったく思わないわけではない。でも、明日じゃなくてもいいかもしれないと思った。

隣の席の波多野君がもしも、明日学校で無視をしなかったら?普通に話しかけてくれたら?
そうしたら少しだけ気持ちが楽になるような気がする。今にも呼吸が苦しくて、止まってしまいそうな心臓がゆっくりと息をして動き出す。

「明日、また死ぬの?」
「…」

波多野君がもう残り少ないティーカップに入っている紅茶を飲み干して聞いた。

無言の私に注意深く、彼は問う。

「やり残したこととかないの?」
「…ない。何もない」
「でも、このチーズケーキ食べてよかったんじゃない?」

その言葉に私は強く頷く。それは本当だ。ケーキの中では一番チーズケーキが好きだし、こんなに美味しいケーキをまた食べたいと思った。今月限定なのが惜しい、とも思う。

「ちなみに、なんで飛び込もうとしたの?」

それは、と言ってまた言葉が詰まる。唾を飲みこんでも声が掠れる。
微かに震える手を隠すように私は両手をプリーツスカートの上に置いてこぶしを作る。

「苦しくて、」
「苦しい?」
「そう。学校で…友達もいないし…合わない子もいるし…あとは、家にも帰りたくなくて」

確認するように、一つ一つ丁寧に言葉を選んだ。
そうすると意外と言葉が出てくることに気づく。いじめられている、とは言わなかった。言えなかったのではない。言いたくなかった。だって、私はいじめのせいで死を選ぼうとしている。たくさんの選択肢の中から死を選ぶ。それは、自分を殺すことだ。でも、それを選ぶしかない。そういうふうに追い詰める行為をいじめとして片づけてほしくない。

「友達なら俺がいるじゃん」

え、と声が漏れる。弾けるように顔を上げて、私は顔を歪ませる。嫌とかじゃない、そうでもしないと泣きそうだからだ。

「あー、でも合わない子?いるんだ。それが嫌ってことか。それと家にも帰りたくない…か」

視線を空へ彷徨わせて、悩んでいる様子の彼にどうしてそこまで私のことを考えてくれるのだろうと思った。
確かに、目の前で自殺をしようとしているクラスメイトがいたら止めるだろう。
そして、どうして自殺しようと思ったのか、聞くだろう。
でも、ここまで一緒に考えてくれるだろうか。普通は、ここまでしてくれるのだろうか。

「あ、やり残したことあるじゃん」

閃いたように口角を上げて前のめりになって上半身を私に近づける。
同時に私は体を反らせるようにして彼から距離を取る。

「合わない子、つまり嫌なことしてくる子いるんでしょ?どうせ死ぬならそいつに言いたいこといってからでもいいんじゃない?だって嫌なことされたままで成仏できると思う?俺なら化けて出るけど」
「…そんなの、無理だよ。だって、」
「無理じゃない」