「っ…やっぱり君も、あたしの運命じゃないんだ?」
グサ
最初は不慣れだった包丁の扱いも、即死も、後片付けも、今はもう慣れた。
男は馬鹿だ。
女が自分より弱いからって、隙だらけで油断しまくり。
女はたしかに男より弱いけど、女だって武器を持てば男に勝てる。
あたしはそうやって“運命”に見放されてきた。
広がっていく赤に、無意識に唇が歪む。
運命じゃなかった。だけど、あたしの彼氏だ。
彼氏は、あたしだけのモノである必要があるでしょ?
だからあたしはいつも、あたしに愛がないとわかったら奪ってきたんだ。
…はさみ、どこだ?
運命の赤い糸は、いくらでも結び直せる
いくらでも切って、なくなったらまた新しい糸を巻いて
「ありがとう。大好き……さよなら」
プツン