「ジャンヌさん見てた? あたし、頑張ったよ!」

「うん、見てたよ。すごく上手だった。よく頑張ったね!」


 人並みの言葉しか贈れないのが悔しいけど、わたしは一生懸命マリアを褒める。


 子供の成長は早いし、急だ。
 ついこの間まで赤ちゃんだった気がするのに、なんだかとても感慨深い。

 参拝者の前に立って、聖女として頑張っているマリアを見た時も驚いたけど、聖女の仕事は背伸びをしすぎているから、こうして子供らしいイベントをこなしているのを見たほうが、成長を実感しやすい。いや、夜会は全然子供らしいイベントじゃないんだけどね。


 マリアはニコニコしながら、わたしにギュッと抱きついてきた。今は甘えたい気分なんだろう。
 気恥ずかしいけど、わたしも少しだけ、マリアを抱きしめてやった。


「ねえ、セドリックは? セドリックも見てた?」

「ええ、もちろん! 本当にご立派でしたよ! 今度、ご褒美を用意しなければいけませんね」


 わたしの後からヒョコリと顔を出し、神官様がマリアを褒める。


「やった、ご褒美! ご褒美ほしい!」

「何が良いか、考えておいてくださいね!」

「うん、そうする!」


 屈託のない笑顔。見ていて心が温かくなる。
 わたし一人じゃマリアをこんなに喜ばせることができなかっただろうし、神官様にちょっとだけ感謝だ。