龍二の船も、小さな流し台とトイレが

完備してあった。

テーブルと椅子も備え付けてあり

麻耶にとっては、とても豪華な物だった。

魚釣りもした事がなく

こんな遊び方も知らないので戸惑うばかり。

だけど、龍二が全部用意してくれて

三人で釣りを始めた。



龍二とマサルは何匹が釣っていたけど

麻耶は2時間経っても何も釣れない。

「なんで~?!」

麻耶は、ふて腐れてその場に横になった。

「素人だから、魚も食いつかないんだよ」

マサルの方が龍二よりたくさん釣っていた

ので、毒を吐かれても仕方なかった。

「もういい、辞~めたっ!

 でも、気持ち良いね。天気もだし

 空を海も青くて・・・気持ち良い~!」

麻耶が叫ぶと、龍二が笑った。

「釣れると、もっと気持ち良いぞ!」

顎を引いて、こっちに来い、の仕草をした。

麻耶は、マサルの背中に視線を動かし

それから龍二に戻した。

龍二が黙って頷いたので

自分の竿を持って、龍二の隣に座った。

よく見ると餌がなくなっていて

これじゃあ釣れないぞ!と頭を小突かれた。