「行くぞ」

龍二に着いて行くと

たくさんの船が所狭しと並んでいた。

豪華客船のような大きな船や

漁船みたいなのもチラホラあった。

龍二の船はその中では小さい。

隣の船が極端に大きいから

そう見えたのかも知れない。

だけど、船を持っている事が金持ちの証拠。

「ねぇ、因みに隣の船って幾らくらい?」

「ああ、これは知り合いの会長の船。

 1億とか言ってたぞ」

「1億???」

麻耶とマサルは、ひっくり返りそうになった。

違う!違い過ぎる!

麻耶と龍二の住む世界は、果てしなく遠い。

「今度、乗せて貰うか?」

龍二は、二人の驚きにも

表情一つ変えず言葉を続けた。

「ベットは勿論、台所も付いてるから

 優雅に船旅が出来るぞ!

 夏になったら行くか?

 何処かのプライベートビーチで海水浴」

「行く行く!俺絶対行く!」

マサルは、この上なく嬉しそうだった。

だけど麻耶は

こんな人と結婚なんか出来ない。

断ろうと心に決めた。