-----結婚申し込んだ。
私の事だよね。
あれから龍二に聞かれないので
麻耶も返事してないし。
マサルには、名前を言ってないので
相手が麻耶だとも思ってないよねぇ。
マサルは助手席で、麻耶が後部座席。
そして、いつもと変わらない会話。
3時間車を走らせ、小さな港に着いた。
「海だー!」
「海、海!」
二人は子供みたいにはしゃいでいた。
龍二は、鍵取って来る、と言って
どこかへ消えた。
「鍵って?」
「船の鍵。兄貴の船だから」
「はあ???」
あまりの驚きに声がかれた。
龍二は仲間とお金を出し合い
船を買ったそうだ。
何処かに別荘も持っているらしい。
(これも共同出資)
「マサルの家って金持ちなんだ?」
「いや、家は普通。兄貴が金持ちなだけ」
「へぇ、エリートだからね」
「エリート?誰が?」
「龍二が。外資系の保険会社」
マサルは、片方の唇の端を上げ
何度も頷いていたけど
麻耶はマサルの表情を見ていなかった。