「可愛い妹だな」

龍二は、二人とは視線を合さず呟いた。

初めて可愛いと言ってもらえて

麻耶は素直に嬉しかった。

学生の時から私の耳にその言葉は

聞こえてこなかった。

平凡で、何の取り得もなくて

オシャレにも無頓着な私だったから。

「女って変わるんだなぁ」

マサルは、麻耶の顔をマジマジと見つめた。

「そんなに見ないでよ!

 これでも恥ずかしいんだから!」

麻耶は頬に手を当て、床に目線を落とした。

すると、マサルが麻耶の頭に手を乗せた。

「可愛いくなって良かったな。

 お兄ちゃんも嬉しいぞ!」

「うん。ありがとう」

二人とも満面の笑顔だった。



龍二がお風呂から上がって、三人で夕食。

他愛のない話で盛り上がる。

此処に泊まる事も増えて

本当の兄妹のようだと思える。

「ゴールデンウィーク

 三人で何処か行こう!」

マサルがお酒で赤くなった顔を

麻耶に近付けた。