龍二とマサルはどんな反応をするのか
不安だった。
だけど、今日しか機会がないのも
分かっていたので、麻耶の持っている
服の中で一番女の子らしいのを選んだ。
紫のブラウスに黒のスカートを履いて
トレンチコートにブーツ。
マンションに行く前に
二人にメールを送る。
「今日は、私が夕飯作るから」
ショッピングモールで食材を買って
ケーキ屋さんにも寄った。
春の日差しと、変身した満足感で
足取りはとても軽やかだった。
まるで、恋人に会いに行くみたい。
マンションに着き、龍二の洗濯物を
1階のコインランドリーへ持っていく。
同じマンションの住人らしき人が
ベンチに座っていた。
「こんにちは」
声も自然と弾んでいる。
「こんにちは」
笑顔で返され嬉しくなった。
オシャレをすると気分が良い!
今まで、とても損をしたような気がした。