マサルの就職が決まり

実家を出ると言い出した。

兄貴のマンションからの方が通勤に便利で

一緒に住みたいんだ。

兄貴が居ない時は、俺が家の事をする。

だから、家政婦は要らないと思うんだ。

麻耶も自分のやりたい事見つけてさぁ

いつまでも兄貴の世話をしてる訳にも

いかないだろ。

麻耶は、遊びに来れば良いんだから

何も変わらないだろ。



マサルの意見は正しい。

だけど、まだ見つからなくて・・・

普通のバイトより倍の給料で

自分の都合に合わせて出来るし

誰かの世話をするのも苦じゃなくて

此処のマンションも居心地が良いので

麻耶は、辞めたくなかった。

だけど、そんな事は言えない。

龍二の判断に任せようと思い

麻耶は黙って聞いていた。



龍二は、暫く考えていた。

「駄目だ。二人で住むには狭すぎる。

 それに、俺の生活スタイルが崩れる。

 金を出してやるから、他を探せ」

「そう言うだろうと思ってたよ!

 分かった、会社の近くで探すわっ!」

マサルは、チェッと舌打ちをした。

だけど、不機嫌そうではなかった。