もう、嫌だ。


目を閉じるといつも遥輝のクシャッとした笑顔が浮かぶ。


可愛いって言ってくれて、頭を撫でてくれて。


クールだけど照れ屋さんで、からかうとすぐ怒って拗ねて。


でもずーーっと優しくて、一緒にいると居心地が良くて。


あんなにも真っ直ぐに愛を注いでくれたのは遥輝が初めてだった。


でも、もう遥輝はいない。


遥輝の人生に私はいらないから。


すぐに死んでしまう私なんて、いちゃいけないから。


「お願いだから、もう遥輝の話はしないで」


これ以上思い出したくない。


遥輝の笑顔なんて思い出したくない。


優しさも温もりも愛も、何もかも忘れ去りたい。


どうしてそれすら許されないの…?


忘れさせてくれないならせめて、健康な身体がほしかった。


何も考えずに愛する人を愛せる身体が欲しかった。


普通に生きたかった。


普通の恋がしたかった。


どうして許されないの…?


ねぇ…教えてよ。


どうして私は、人並みの生活が…幸せが…手に入らないの…?