蒼ちゃん。


蒼ちゃん。


おーい、返事、は?


焦れたような久保田さんの声に。


「…き…、で、す」


振り返ることなく、呟いた。


「ん?聞こえないなぁ。オレはこんなに蒼ちゃんのことが好きなのに、さ」


イジワルにも

優しくも聞こえる久保田さんの声はだから、いつも、ズルい。


「…き、です…すきです!すきです!!すきですッ!!」


やけくそのように叫んだけれど、それはすべて、ほんとう、だ。


くるり、と勢いよく反転した私の体は、久保田さんの胸にすっぽりと収まった。


ふふふ。ありがと?



でも絶対、オレの方が蒼ちゃんを好きだけど、ね?


あ、なんか、ドラマのセリフみたいになっちゃった、ね?


ふふふ。


好きな人に抱き締められることは、こんなにもシアワセ。