「だってッ!いっしょにキッチンに立ちたいんだもんッ!!」


「蒼ちゃんってさ、ほんっとかわいー」


キッチンの流し台の横のスペースに肘をついて、余裕の笑顔を見せている。


じゃれるような言い争いは、久保田さんの、勝ち。


結局、サラダのドレッシングを作る許可を、なんとか得て、サラダを作ってくれる指先を見つめる。


ささくれひとつない指先が、器用に動くのを隣で見つめる。


レタス、キュウリ、トマト、ブロッコリー。


包丁でサクサクと切ってゆく指先は迷いがなくて。


「久保田さん、普段からお料理するんですね」


「うん?わりと好きだよ?」


隣で、至近距離で放たれた『好きだよ?』に、なぜだか固まってしまう。


違う違う。『料理』が、だから!


ココロの中で、自分自身に突っ込みをいれる。