両手首を拘束されたまま、しばし見つめ合う。


こんなに綺麗なひとが、私を見つめてくれている。


「蒼ちゃん」


そのくちびるが、私の名前を呼んでくれるのをただ、見つめる。


蒼ちゃん。


ゆっくりと、久保田さんの顔が近づいてくる。


ふふふ。


ふいに解かれた両手首。


今度は、てのひらに優しく触れる、久保田さんのてのひら。


それだけでもう、緊張は解けてゆく。