「さて、蒼ちゃん。どうしたの?何かあったんだよね?」


すっかり冷えた指の先。


ヒリヒリと痛みを伴っているのは、もくもくとココロを覆ってしまった黒い気持ちへの罰、だろうか。


そんな醜い水ぶくれにも、丁寧に薬を塗って、絆創膏を貼ってくれた久保田さん。


それは、初めて出会った、あの夜と同じ優しさで。


ちっとも変わらない。


私だけが、ちいさな嫉妬心に埋め尽くされてしまっている。


我ながら、嫌になる。


鼻をぐすぐすさせて、またも流れてしまう涙。