『片桐総合病院』での打ちあわせが終わると、今度は新たな取引先となった医療品メーカーへのあいさつである。

腕時計に視線を向けると、後少しで7時になろうとしていた。

これまでのこの時間と言えば、家で夕飯を食べているかテレビを見ているかゲームをやっているかのどれかである。

この間までは定時で帰ることができたのに…と、靴擦れの痛みを感じながら私は泣きたくなった。

お腹が空いた、疲れた、足が痛い…と、頭の中はこれらのことばかりである。

「おい」

「はい」

社長に声をかけられたので返事をした。

私は疲れていると言うのに、社長は疲れているどころかその素振りすらも見せない。

本当に、この人の体力は一体どうなっているんだ?

と言うか、それ以前に秘書の存在はいらないだろと思ってしまった。