「今まで社長に秘書がいたことがなかったんですよ」

浦井さんは言った。

「えっ、そうなんですか?」

それじゃあ、今までの秘書業務は誰がやっていたと言うんだろう?

そんな私の心の中を読んだと言うように、
「社長が1人で全部やっていたんですよ」
と、浦井さんは言った。

「マジですか…」

よくぶっ倒れなかったな、おい。

心の中でツッコミを入れていたら、
「だから社長が秘書をつけさせただけじゃなくて、その秘書を自分から指名したって言うのも珍しかったんですよ」
と、浦井さんは言った。

「はあ…」

それで社長は私のことを気に入ってると言った訳なのか。

でも、
「仕事を自分1人でこなしていたんだったら、私はいらないような気もしますが…」
と、私は言った。