備えつけのクローゼットはここで生活ができるのではないかと思うくらいに広くて、確かにこれだったら何着置いても心配なさそうだし、何だったら足りないくらいだろうなと思った。
帽子を置くところもあるし、シューズクローゼットもあるし、鏡台に至ってはテレビ局の楽屋から買い取ってきたのかと疑ってしまったくらいだ。
鏡を囲うようについている所謂、“女優ミラー”と呼ばれている電球が本当にあるんだなと思った。
「そうだ、兄ちゃんに連絡しなきゃ」
私はカバンからスマートフォンを取り出すと、指で画面をタップした。
着信履歴から“兄”と登録しているそこを指でタップすると、電話をかけた。
「もしもし?」
5歳上の兄こと門谷義隆(カドヤヨシタカ)が電話に出た。
「兄ちゃん?
私、紀香だけど」
兄に向かって、私は言った。
帽子を置くところもあるし、シューズクローゼットもあるし、鏡台に至ってはテレビ局の楽屋から買い取ってきたのかと疑ってしまったくらいだ。
鏡を囲うようについている所謂、“女優ミラー”と呼ばれている電球が本当にあるんだなと思った。
「そうだ、兄ちゃんに連絡しなきゃ」
私はカバンからスマートフォンを取り出すと、指で画面をタップした。
着信履歴から“兄”と登録しているそこを指でタップすると、電話をかけた。
「もしもし?」
5歳上の兄こと門谷義隆(カドヤヨシタカ)が電話に出た。
「兄ちゃん?
私、紀香だけど」
兄に向かって、私は言った。