私の返事を確認すると、社長の端正な顔が近づいてきた。

その顔を離れる理由もなければ避ける理由も特にないので、私は目を閉じた。

「ーーッ…」

お互いの唇が触れた。

その瞬間、社長に捕まったと私は思った。

たかがキスだけなのにと言う感じだが、社長から逃げることはできないだろうなと思ったし、逃げたとしても社長は追いかけてきて私を捕まえにくるだろう。

やることは徹底的行動主義の用意周到な彼のことだからそんな気がして仕方がない。

社長の唇が離れたのと同時に、私は目を開けた。

ーー今の私の顔、ものすごいと言っていいほどに真っ赤な顔をしているな…

社長の瞳に映っている自分の顔に、私はそんなことを思ったのだった。

☆★END☆★