社長は軽く咳払いをすると、
「これでもうわかっただろう?

君を秘書に指名した経緯も、俺が君を好きなった理由も、全てわかっただろう?」
と、言ってきた。

「え、ええ…」

全部社長が教えてくれたので特にない。

「それとも、君は俺のことが嫌いか?」

そう聞いてきた社長に、
「好きか嫌いかどうかと聞かれたら困りますけど、男としては見たことがないです。

もう少し言うならば普通、正直なことを言うならば何も思ってないです」
と、私は答えた。

「…君らしい答えだな」

社長はそんなことを言ったけれど、私は本当のことを言ったまでである。

「キスくらいしたら俺を意識するようになるかと思ったけれど」

「怖がられるうえに、最悪の場合は訴えられても文句は言えないと思います」

ここまでくるとドラマの見過ぎじゃないか?