階段の軋む音が聞こえなくなったあと、ゆっくりと体を起こした。


今さっきまでそこにいた彼の温もりは、とうに冷めてしまっていた。

ふと、枕元に置いてある封筒が目に入った。



綺麗な字で"美久へ"と書かれていた。

理由はないけど、それがお父さんの字なんだって思った。

封筒を開ける手が、自然と震えた。