あたしは、体育と数学の流れの違いを思い出し、うんうんと大きく縦に首を振った。


「誰かがやっと終わった。そう思った1日を、誰かはもう終わってしまったと、そう思うの。」


窓の外に広がる青空を見つめるその目が、切な気に揺れていた。


「でもやっぱり、1分も1日も決して変わることなく常に等しく流れている。」


なぜか鼻の奥がツーンとした。


「美久ちゃん、誰にでも唯一平等に与えられている時間、大切にしてね?」


その潤んだ優しい目であたしを見つめた。


「どんなにあがいても、後悔しても、時間は決して戻ってはくれないの。だから大切にしてね?」


念を押すように、真っ直ぐあたしを見つめる目を、今でも鮮明に覚えてる。