廊下で彼とすれ違った。

サッカーのユニフォームを着て、夕日で汗が輝いていた。



切ないわけじゃない。
悲しいわけじゃない。


彼が眩しくて、彼が格好よくて、また視界がぼやけてきた。



涙と共に、この想いも流れてしまえばいいのに。

人を想う重さなんて、知りたくなかったのに。



それでも彼を目で追ってしまって。


無理矢理前を向いて、涙が流れるのも、鼻水が流れるのも、何もかもを構わずに走った。