女性は、フリルやリボンのついたピンク色の可愛らしい着物ドレスを見に纏っている。初めて見る服装を咲也がジッと見つめていると、女性の目がゆっくりと開いていった。

「お、おはよう!」

胸を高鳴らせながら咲也は挨拶をする。すると、目を覚ました女性の顔は一瞬にして不機嫌になった。

「この、無礼者!小汚い人間がわらわの寝顔を見るなど……」

「ぶれいもの?僕のお家は綺麗な大きなお家で、僕の家はお金持ちだよ?」

女性の言っていることが理解できず、咲也は首を傾げる。女性は咲也の言葉を聞いて、さらに怒りをあらわにした。

「そのようなことを言っているのではない!わらわはコノハナサクヤ姫。桜の女神じゃ。お前の家がどんなに金持ちでも、わらわの足元にも及ばん。そんなお前がわらわの領域にズカズカ入り込みよって……!」

サクヤ姫の言っていることは、やはり咲也には理解できない。だが、嫌われてしまったと感じ、その大きな目に涙が溜まっていく。