……帰ろうかな。

今、何時だろう……。


そう思って鞄の中で携帯を探す。

鞄の中で手に触れたのは、携帯じゃなくて一枚の封筒だった。


あ……。

鞄に入れっぱなしの悠からもらった手紙だ。
最近読んでないから、懐かしいな……。


私は懐かしさと同時に、今これを読んだら少しだけ前に進める気がして、封筒を手に取った。

本屋さんへ立ち寄るお客さんの邪魔にならないよう、端のほうに移動して封筒から便箋を取り出す。


便箋には懐かしい悠の字。

下手くそな字だけど、それさえ愛しく感じていたんだよな。

私は少しの安心感を覚えながら、手紙を読み返した。