「あついー……」



暑さに溶けそうになりながらも、私は本屋さんまでたどり着く。

自動ドアを潜り抜けると、冷房の効いた店内の空気が体を冷やしていく。

私は自動ドアを潜り抜けたすぐ横にある、フリーペーパーが置いてあるコーナーに向かった。

私が本屋さんで求めようとしたものは、ファッション雑誌とか文庫本じゃなくて、求人雑誌。


昨日、瑠奈と話していて思ったんだ。

悠はどんなときだって、私の社会復帰を応援してくれていた。

言葉では『頑張れ』なんて言わなかったけど、それでも応援してくれていたことは分かっている。

だから、私は悠と離れて、前に進むためにも社会復帰……、再就職をしなくてはいけないと思ったんだ。


私は無料の求人雑誌に手を伸ばす。

求人雑誌に手が近づくほど、手が震えてくる。

全身まで震えそうになる。

思い出してしまうのは、レストランで働いていた時の嫌な思い出。

再就職して、また失敗したら、次こそ立ち直れないかも……。


そう思ってしまった私は、求人雑誌に伸ばしていた手を下した。