オーディションは順調に進んでいるのか、ひとり7分くらいのスピードで呼ばれていた。

次は俺の順番だ。


ドキドキしていると、女性が控え室の扉を開ける。



「9番の方。準備をお願いします」

「はいっ」



俺は椅子から立ち上がり、ギターを持って女性に近づいた。

歌詞もギターのコードも全部頭に入っている。

大丈夫だ。

あとはやってきたことを証明するだけ。


俺は案内されるまま、ステージの袖にやってきた。

ステージ袖から見えるのは、ちょうど前のグループの演奏が終わった瞬間だった。

それから審査員の方々からの言葉をもらっている。


歌い切ったあとにコメントをもらうのか?

オーディションってそういうところなのか……。


初めてのことばかりに緊張している俺。

だけど時間と順番は迫ってきて。

 
「次。エントリーナンバー9。ステージへどうぞ」

「はい」