オーディション会場はライブハウスだった。

大きな会場を想像していたけれど、思ったより小さなライブハウスだった。

このライブハウスの小ささからして、仮にオーディションに合格したとしても売れるのか……?


そう思ってしまうほど、想像していた会場とは違った。

だけど、オーディションはオーディションだ。

気の緩みは禁物だ。


俺はライブハウスに入って受付を済ませた。

ライブハウスの中は涼しかった。

外の気温とは大違いだった。


俺は控え室に案内される。

“控え室”と書かれた扉を開けて入ると、すでに沢山のオーディション参加者がそろっていた。

その人数の多さに驚いた。

ロックバンドのグループなのか、お揃いのような衣装を着たグループや、ソロで歌うのかアコースティックギターを持った女性がいる。

誰もが貫禄があるような感じがして、俺はひるんでしまった。


多分、この人たちの雰囲気からして、沢山のオーディションを受けてきているんだと直感的に思った。

堂々としているし、自分の世界に入り込んでいる感じがするから……。

俺はそんな空気にのまれないように、自分の冷静さを保ちながら、空いている椅子に腰かけた。