バスは渚停留所につくと 渚東高の生徒達を乗せ再び走り出す。

そしてバス後方ドア付近では

後輩 砂山(あ!アキラくん おはようございます!)

アキラ(うぃー。)

後輩 浜田(ヒロさんも おはようございます!)

ヒロ(やめろよ。そのさんづけ。俺、1年早く生まれただけで 偉くもなんともねーんだからさ)

浜田(いえいえ!ヒロさんは花巻館長の息子さんでして 俺、館長にはお世話になってますから!)

ヒロ(じゃあ 俺じゃなくて親父に世話になってるだけで 俺関係ねぇじゃないか。大体 俺はあの道場も稽古も嫌いだから 親父と一緒として見られたくないんだよ!)

アキラ(おぉ!カッコいいねぇ!ハナちゃん)

ヒロ(やめろよ!その気の抜けた呼び方!)

アキラ(笑)

浜田(でも 関係ねぇと言いながらも ヒロさんが稽古をほとんどしてないのに 道場の交流稽古の時に突然参加する事になって関東27区第2位をいとも簡単に伸した時は マジびっくりしましたよ〜!)

ヒロ(しらねぇよ!ホントに関東第2位だったのか!? その第2位の調子がたまたま悪かっただけなんじゃないの)

アキラ(まったく カッコいいねぇ!ハナヒロちゃんは!)

ヒロ(だから その変なのやめろ!)

アキラ(大笑)

この男子校生のどうでもいい武勇伝を 意識の遠くの方で聞き流しながら 紬は海を見ていた。