目の前にある泉の背中。

視界が泉でいっぱいになっちゃうじゃん。

なんでそんなに大きくなってるのよ、……そんなのずるいよ。


……違う、ずるいのは私だ。


繋がった手から逃れたくて力を入れると、泉の手はぎゅっとさらに捕まえてくるから、離れられない。



「……離さないよ、もう」



歩きながら僅かに振り返った泉の目に熱さが滲んでいて、それだけで私の心臓は動きが鈍くなる。

大勢の人で賑わうショッピングモールの中なのに、まるで泉と二人きりにでもなったように感覚が狂う。



「離して……」



声が震えてるのが自分でもわかった。それでも、私の精一杯をこめて拒絶する。