うぅ……、真由ちゃん、顔面至上主義者だからなぁ……。

イケメン認定を受けた彼を恨めしく見れば、口の端を片方だけ器用に持ち上げて、おもしろがるような目をしている。



「また、連絡するね!」

「え、ちょ、待ってっ」



私からぱっと離れた真由ちゃんはそう言って、泉に軽くお辞儀をして行ってしまった。


早い、早すぎるよ、真由ちゃん。まだ心の準備できてない。いま、泉と一緒に居たくないのに。


真由ちゃんが紛れた人の流れを呆然と見ていると、泉の心配そうな声が落ちてきた。



「平気だった?」

「……平気じゃない、真由ちゃんと帰りたかったのに」



つい子どもじみた言い方になってしまい、余計に恥ずかしさが襲う。



「そーじゃなくて……」

「じゃぁ、なに?」

「……いや、いいや」



ショルダーバックの紐をきゅっと握り締めて俯いていると、ダークブラウンの髪がさらりと視界に流れてきて、それと同じ色の瞳と目が合う。