私の言葉に、泉は一瞬息を飲んだように見えたけれど、すぐにいつもどおりしれっとした表情を浮かべた。
「一緒に帰ろうと思って」
「なんで、私、真由ちゃんと帰るもん」
「高木さんの了解は取ったし」
「えぇ?そんな勝手に!!」
つんっとそっぽを向いて、「真由ちゃーん」と泣きつけば、真由ちゃんはすごく真剣な目をして私の両肩に手を乗せた。
「莉世、片桐くん、すごい心配してくれてたよ。家も隣なんでしょ?私はいいから一緒に帰ったほうがいいよ!」
「ほら、高木さんもそう言ってくれてる」
私と泉を取り持つように気を使ってくれている真由ちゃんに、ちゃっかり便乗する泉を睨む。
というか、いつの間に真由ちゃんの苗字を把握してんのよ……。くぅ、なんか悔しい。
真由ちゃんは腕を曲げ、私の耳にそそっと顔を寄せて「幼馴染兄弟の、弟くんの方だよね」と確認してくるので、小さく頷いて肯定する。
「ごめん!イケメンには逆らえない!とにかく一緒に帰っとけ」と雑に囁かれ、がっくりと肩を落とす私。