本当は、それだけじゃない。

なんか泉が最近また優しすぎるから、気まずいっていうのもある……。

まぁ相手は泉なんだから、お父さんみたいな感じで私のこと心配してくれてるんだろうけど……。

でも、これは潤くんには言えない。



「でも、きっと会っちゃうと思うなー」

「えぇ?!なんで?」



潤くんがやけに自信ありげにいうので、思わず非難の声を上げた。



「だってさー、あいつの……」



途中で言葉を切って私の方をじっと見るので、鼓動が少しだけ早くなる。



「あいつの……、なに?」



と続きを待っていれば、潤くんは口を手のひらで押さえて「ま、いいや」と言葉を飲んでしまう。



「えー?すっごい気になるんですけど」

「ごめんごめん、なんでもないよ」

「んー?なんか腑に落ちない」

「まぁ、とにかく会うよ、多分ね」



おもしろそうに言うけれど続きは聞かせてくれそうにないので、私は頬を膨らませて潤くんをじとって見上げた。


そのほかにたわいもない会話をしていれば、あっという間に駅についてしまった。


潤くんは「じゃぁ、俺はこっちだから」とさらりと行ってしまう。

小さく手を挙げてその後ろ姿を見送った。