潤くんの唇がゆっくりと動いて、私の欲しかった言葉が紡ぎ出される。



「心配ないよ」

「……っ、」



頭上を流れていく潤くんの手のひらのぬくもりが優しすぎて、心が解れてしまって、世界がぼやけて何も見えない。

涙があとからあとから出てきて、もう自分では止められなかった。



「……ご、ごめっ、ごめん、なさっ…」

「莉世がなんで謝るの」

「……な、なみだ、とまんなっ…い、」

「大丈夫、泣いていいよ。俺しかいない」

「お、おかあさん、に…しられたく……ないっ、」

「うん、わかってるよ」



隣家になって、出会って、まだ日が浅いのに、なんで潤くんの声はこんなに安心をくれるのだろう。



「そのまま歩くのは……ちょっとね、ほら、ここ乗って」



目の前に膝をついて背中を向けてくれる。

何も考えられず、吸い寄せられるようにその背に体重を預けると、ふわりと体が上がった。