『隣の潤くんと付き合おうと思う』


お正月に聞いた、短いあの報告。

あの時、お姉ちゃんはどんな顔していたんだろう。

自分のことに精一杯で、お姉ちゃんを見る余裕なんてなかった。

まっすぐに伝えてくれたのに、どうして私は目を背けてしまったんだろう。


首に回るお姉ちゃんの腕がふっと緩めば、眉を下げて笑うお姉ちゃんの顔が見えた。

困るのに嬉しい、嬉しいのに後ろめたい、そんな顔。私も同じような顔をしているんだろうなと思った。


私は唇にぐっと力を込めて、横に大きく開いた。



「お姉ちゃん、会いたかったよー!おかえりなさい!!」



それ以外、言いたいことなんてなかった。……なかったのに。自分の心の中を覗き過ぎて、勝手に捕まって疲れてしまっていた。


お姉ちゃんは「ただいま」と小さく言って、私から離れてまた笑った。