莉世の望み通りのムカつく幼なじみをやっているけれど、ふっとした時に本音がこぼれてしまうのは仕方のないことで。

手のひらにすっぽりと収まってしまう小さな手の温かさに胸が痛い。



「……泣けばいいのに」



あの頃から、莉世の苦しさが溶け込んだ涙を受け止めたのは兄貴だった。


俺は立ち入れない。

お願いだから、俺にも見せて。

一番近くにいるはずなのに、俺はずっと一番遠いまま。