莉世の髪を撫でていた手が思わず止まってしまった。


……………葉山さんずるいって。なにそれ。



顔を埋めていた莉世から、少しだけ身を離して覗き込めば、少し拗ねたように眉根を軽く寄せた顔があった。


…………同じ気持ちだったんだ。


そう思えば、自然と頬が緩んで愛しさが増す。



「俺も同じ。葉山さんずりぃなって。俺の知らない莉世知ってて許せんって思ってたよ?」

「え、泉、そんなこと思うの?」

「そりゃ、普通に思うでしょ」

「………なんか、意外」



意外って、俺、どんなふうに思われてんの?

なんなら、俺ん中、ヤキモチしかないぐらいだけど?

莉世が目を少し見開いてこっちを窺うように見上げるから、その視線を避けるためにまた腕の中に閉じ込めて頭頂部に顎をのせた。

そのまま夜空に白い息を吐くと、莉世が「ふふっ」と小さく笑った。



「……なに?」

「んー、……あのね、」

「ん?」

「いまね、私史上、最強に幸せだなて思って」