「こたくんのプラレールすごかったよー!いろいろ繋がっててびっくりした!」



莉世は葉山さんの家が楽しかったらしく、家までの道を歩きながら目を輝かせ報告をしてくれる。



「智香(ともか)さん…あ、葉山さんのお母さんね、すごく若くてきれな人でね」

「お料理もすっごく上手で夕飯おいしかった!お菓子作りも得意みたい」

「みんなでトランプしたんだけど、こたくんが拗ねちゃってね……」


……ふーーん。あっそ。とか思ってしまう俺、本当に心狭い。


そんな気持ちを隠して、ことさら優しく相槌を打つ。



「そっか。楽しくて、よかったね」

「うん!」



屈託なく笑って頷く莉世、本当にかわいい。小さい時から変わらない大好きな笑顔。

だけど。



「葉山さんが智香さんにめちゃくちゃ優しくってね。ステキだねぇって真由ちゃんと話してたんだぁ」



うっとりと言うから、つないだ手につい力が入ってしまった。


「……泉?」



急に立ち止まった俺を不思議そうに莉世が見上げた。

月明かりに照らされた色素の薄い薄茶の瞳が揺れている。


つないでいない方の手でそっと頬を包んで、親指で唇をなぞると莉世がぴくっと肩を揺らした。


莉世のこの唇から、違うやつの名前が出るだけでざわついて仕方ないのに、ステキとか……。



「あ、あの、いず……んっ」



寒空に溶け出した白い吐息ごと、唇を重ねて飲み込む。

莉世の肩を抱き寄せると、もっと近づく体温。

きゅっと俺の胸元を必死に掴む莉世の指を感じれば、脳内が蕩けそうだ。

一瞬、唇が離れた隙に吐き出された息とともに



「……はぁ…泉…」



俺をよぶ甘いささやき声が聞こえれば、離したくなくてまたキスを落とす。