「うっ」



こんなの初めてのことで一瞬息が詰まってしまって呻いてしまうほどで。



「……ど、どうしたの……?」



頭を傾けながらおずおずと俺を覗き込むから、予期せず近づいた柔らかそうな頬に気がついたら手が伸びていた。



「ひゃあっ……」



頬を摘まれた莉世の小さな悲鳴が聞こえた瞬間、隣にいた兄貴に思いっきり頭を叩かれた。

親は慌てて俺の首根っこを掴んで莉世から引き離して、容赦ないゲンコツを食らった。


怒られながら盗みみた莉世は、顔を真っ赤にしながら頬を両手で包んでいた。


けれど、俺と目が合うと、ふわっとはにかんだ笑顔をくれた。


それ眩しくて、生まれて初めて女の子をかわいいと思ったんだ。